記事 ロラン・バルト『明るい部屋』:時間と「刺し傷」についての省察
ロラン・バルトの『明るい部屋』は、母の死を背景にした写真への省察である。本稿は4つの中核的概念を解説する。1) 文化的な「ストゥディウム」と私的に「刺す」=「プンクトゥム」という観客の二重構造。2) 写真の本質「それは=かつて=あった」(ça a été) という時間と死の証言。3) 意図的に不在な「冬の庭の写真」という私的情動の導入。4)「操作者—光景—観者」の三項関係。情動的分析ツールとしての価値と、ソンタグとの補完関係を論じる。