ロザリンド・クラウス『アヴァンギャルドの独創性』:モダニズム神話の脱構築

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ロザリンド・クラウス『アヴァンギャルドの独創性』:モダニズム神話の脱構築

本書は単なる芸術史の叙述ではない。それは「我々がいかにして『独創性』を理解するよう制度的に教えられてきたか」を暴く、神話解体のための批評機械である。

美術史家ロザリンド・E・クラウス(Rosalind E. Krauss)が1980年代に、60年代から70年代にかけての自身の重要論文を編纂した一冊。本書は「独創性」「アヴァンギャルド」「モダニズム」といった鍵概念の背後にある理論的・制度的神話を、厳密なテクスト分析と記号論/構造主義的ツールを用いて体系的に検証する。写真、コンセプチュアル・アート、ミニマリズム、彫刻などが20世紀芸術の中で占める位置を、根本から問い直す試みである。

中核的観点:インデックス、グリッド、拡張された領域

クラウスの論証は、主に4つの道筋に沿って展開される。

1. 「独創性」という言説的・制度的効果

クラウスは、モダニズムが芸術的天才と唯一無二の作品を神話化してきたと指摘する。しかし、20世紀の芸術実践(レディメイドからコンセプチュアル・アートまで)は、一貫して複製、反復、シリー、構造的規則を用いてきた。「アヴァンギャルドの独創性」とされるものの多くは、批評、美術館、市場が共同で生み出した「正当性」の物語に過ぎない。作品の力は、神秘的な霊感よりも、文法や規則の操作から生じることが多いのだ。

2. 〈インデックスについて〉:写真と70年代アートの「痕跡の理論」

著名な論文「インデックス(指標)について」で、クラウスはパースの記号論を借り、写真(および痕跡、鋳型、拓本、指紋など)を「インデックス」——対象と物理的・因果的連結を持つ「痕跡」——として理解する。彼女はこれに基づき、コンセプチュアル・アートやパフォーマンス・アートを解読する。身体が不在となった後、場所の標識、写真、ドキュメントが「不在の現前」となる。これにより、芸術の焦点は再現や造形から、「痕跡—証拠—アーカイブ」のシステムへと移行した。

3. 〈彫刻の拡張された領域〉:構造的マッピングによる範疇の再編

クラウスは「彫刻/建築」「風景/非風景」の対立関係を用い、4象限のマップを提示する。70年代以降のランド・アート、インスタレーション、サイトスペシフィックな作品が、いかに伝統的な彫刻の範疇を逸脱したかを説明するためだ。この方法の要点は、流派を列挙することではなく、演繹可能な分類座標を確立し、「彫刻」の境界を書き換えることにあった。

4. 〈グリッド〉とモダニズムの自己神話

クラウスは「グリッド(格子)」をモダニズム芸術の紋章と見なす。それは自律した形式と、反物語・反再現の姿勢を同時に宣言し、作品を自己充足的で非歴史的なものに見せる。しかし彼女は警告する。グリッドは形式言語であると同時に、脱文脈化と神聖化のための「修辞」でもあり、純粋に中立的な視覚形式としてではなく、歴史的に読解されねばならないと。

価値と影響:分析ツールとしての系譜

本書の不朽の価値は、二つの層で理解できる。

  • 方法と道具としての価値:本書は3つの分析ツールを提供する——(a) 反・独創性フレーム:天才神話の代わりに「反復/シリー/規則」で制度との共犯関係を検証する。(b) インデックス的ツール:写真やパフォーマンスが「痕跡—アーカイブ」として機能する様を理解する。(c) 範疇の地図:「彫刻」の境界を論理的マッピングで再定義する。
  • 長期的影響:クラウスのモデルは、写真理論(インデックス性をめぐる論争)、コンセプチュアル・アート、制度批評に深く影響を与えた。ソンタグの文化批評、バルトの情動論、バージャーの権力論と相互補完し、セクーラやタグによるアーカイブと権力の研究に理論的基礎を提供した。本書は、「アヴァンギャルド」と「独創性」がいかに製造されるかを、形式、制度、歴史の間で正確に解体する術を我々に与えた。

『アヴァンギャルドの独創性』が教えるのは、独創性を崇拝する代わりに、それを見ることを学ぶことだ——すなわち、いかなる規則と痕跡が、作品の力と正当性を「生産」しているのかを。

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